紙のノートか電子データか
情報の蓄積から活用への流れ
少し前は、様々なノート術が書籍化され、知的生産術はノートから、というような流れがありました。しかし現在では少し様子が変わってきていますね。知的生産は以下の順番で進みます。
①情報の収集
②情報の理解と整理
③情報の関連や組み合わせを読み解く
④情報から新しいアイデアの具現化
以前は①②に重点が置かれていたと思いますが、インターネットや情報機器の発達により情報を如何にしてデータ化するのか、ということにフォーカスされてきていると思います。これはデータ化した方が保存性や検索性が格段に向上するためですね。
一方で、③④は思考するためのノート術です。考える時には同時に手を動かすことで、脳が活性化するという考えに基づきます。PDCAのための仕組みなどもこのジャンルに入ります。書店の本棚を見ても情報の活用にフォーカスした書籍が多くなってきていると思います。つまり以前にも増して、情報をどう活用するかが重要視されてきているということです。
電子データの落とし穴
電子データは検索性が高いため、情報を貯めるには適している、というのは間違いないと思います。しかし検索とはキーワードや日付による検索などを指していますね。何かを考える時にキーワードから関連情報を見つけ出すことはよくあることと思います。しかしもう1つ重要な方法は情報の記憶にあるのではないかと思います。「あの情報がもしかしたら使えるのではないか」という思いつきです。情報を電子データだけに頼ってしまうと、記憶による思いつきが難しくなるように思います。情報を電子化した瞬間から記憶が薄らいでいくことが原因です。そう考えると何かのアイデアを考える場合には、紙のノートの情報も有効な場面があるように思います。
手を動かすのは電子機器でもできる
最近は技術が進歩しており、タブレットに直接ペンで書き込む機能もスムーズにできるようになってきました。つまり直接手を動かすことは紙のノートだけではなくなってきています。タッチの選択や色付けなど手書きよりも素早く出来る機能もあり、使い方によってはとても効率的に作業が可能です。
スタイルは個人の嗜好性に依存する
以前はノートといえば紙であったところに電子データが登場しました。その次には電子データの活用が席巻するかと思いきや、紙のノートの良いところが見直されてきました。さらに最近はもともと紙のノートが得意としていた特徴を電子データでも実現できるようになってきている一方で、電子データの思わぬ落とし穴に気づいたりしています。もはや紙か電子かという問いはナンセンスになりました。大事なことは、自分に適する方法を見つけることです。なんのデータをどのように使おうとしているのか。やろうとしていることに対して、どのような要件を優先したいのか。
自分との対話と試行錯誤を行いながら、自分なりの方法を見つけることが知的生産の効率を上げることになるのです。