OKRの効果 その2 見える化
OKRは全社的に目標が見える化されます。見える化による効果がいくつかあります。
全社的な目標の整合が取れる
組織が大きくなればなるほど、全体整合を取るのは困難になってしまいます。目標の食い違いはもちろん、時には部門ごとの業務が重複したり、逆に隙間が空いてしまったりします。
OKRは会社の目的と部門の目的をシンプルに見える化し、整合を取ることができるようになります。会社、部門、個人の目標を結びつけ、自分の仕事がどのように会社に貢献するのかを明らかにします。また、逆に会社の期待を従業員に伝えるツールとなります。
そのためには、チャレンジングなobjectと具体的に書かれたkey resultsが重要になります。
目標に対するコミットメントが生まれる
さらに重要なポイントは、目標はトップダウンだけでは決まらない、ということです。会社の方針を受けて、各部門で部門の目標を定め、部門の目標の達成のために、各従業員の目標が決まる、というように、それぞれの目標はボトムアップで決めることができるのです。これが目標に対するコミットメントを生むことになるのです。
部門間の連携が生まれる
それぞれの部門が何を考えて仕事をしているのか、がわかれば、関連する部門や担当通しの連携もやりやすくなります。そこから新たな気づきやソリューションに発展する種が生まれることもあり得ます。上手くっている、いっていない、あるいは何かに困っている、なども見えやすくなり、マネジメントもしやすくなります。
OKRの効果 その1 フォーカス
OKRが優れている点はなんでしょうか。まず、最初にあげられるのは
「本当に大切なことにフォーカスする」
ということです。
選択するということは、何かをとり、何かを捨てるということです。その作業を通して、本当に大切なものを理解することができます。そのため、key results を5つ以内に絞る必要があります。絞り込みの過程で、本当に必要なものがわかるのです。
そして、その目標とkey results をオープンにする事で、考え方を共有することができます。単に目標を共有するだけでなく、目標達成のために何をやるべきかを共有することで、関係者のコミットメントを確立することができます。
OKRとMBOあるいはKPI
MBOとKPIの限界
これまでの経営管理の手法の中で、現在最も普及しているものは「MBO」あるいは「KPI」なのではないでしょうか。
MBOは従業員にすべきことを正確に理解させ、それを最適かつ安価な方法で行わせるための手法です。その結果、階層組織を強固なものとし、命令を下すものと実行するものを明確にすることになってしまいました。また、MBOは業績評価と連動したために、確実にできる目標しか設定しないようになります。どの部門も失点を恐れリスクを回避するようになってしまうのです。
こうして、MBOは一見効率的な経営管理の手法に見えますが、業績の伸びは次第にシュリンクすることになってしまいます。
KPIはMBOの中から数値的な指標を取り出したツールなので、MBOの一部分です。
OKRの効果
上記のような、MBO、KPIの欠点を改善したものがOKRとも言えます。
OKRの目標は半分はボトムアップで決めることが推奨されています。また、業績評価とは切り離し、チャレンジングな目標を立てるとともに、それを四半期や月次で見直しながらアプローチや時には目標そのものも修正しながら進めます。そして、その目標は公開されて、進捗が見える化されます。
OKRこのような特徴を持っているため、よりフラットな組織に向いていると言えます。また、より創造的な仕事のスタイルに向いていると言えると思います。これがインテルやGoogleなどの世界の先端を行く企業に採用され、効果を発揮している理由ですね。
最新の目標管理ツール:OKR
OKRとは目標達成に向けた進捗管理の手法であり、インテル、Googleで大きな効果を上げ、その効果が実証されているものです。
目標(object)
主要な結果(key results)
で構成されます。
目標(object)とは、何を達成すべきか、です。ポイントは以下のようなものです。
①重要なもの
②具体的に記述
③行動を促すもの
④人々を鼓舞するようなもの
より具体的であればあるほど曖昧な思考を排除できます。
主要な結果(key results)とは、目標をどのように達成しつつあるかをモニタリングする基準のことです。
OKRの定義だけ聞いても、このツールの凄さはなかなかわからないと思いますが、従来のMBOやKPIと大きく違うところがあります。
この後、何回かに渡ってシリーズで書きたいと思います
目標の科学
1968年、メリーランド大学の心理学教授だったエドウィン・ロックが目標について理論的なアプローチを試みました。
困難な目標の方が楽な目標よりパフォーマンスを高めるのに有効だ。
具体性のある困難な目標の方が曖昧な文側で書かれた目標よりアウトプットの水準が高くなる。
それから半世紀で千件を超える研究が行われ、この理論は、あらゆる経営理論の中で最も多く検証され、証明されたものの1つとなった、と言われています。
この理論で証明されているように、何かをなすためには目標設定が非常に大切です。だからこそ目標達成のためには、目標の設定と管理のシステムが必要となるのです。
目標管理の手法も時代とともに変化しています。最近ではGoogleが導入して効果をあげている「OKR」という手法があります。
次からOKRについて書きたいと思います。
モチベーションの源
勝間和代さんはメルマガの中で自分が仕事を選ぶときの基準として、以下の三点をあげています。
得意なこと
好きなこと
市場が歓迎してくれること
自分のモチベーションも上がり、お客様からも喜ばれることは好循環が回り、長続きするということなんだと思います。
普通は、好きなことだけをするというのも難しい、と思われるかもしれませんね。
でも、大事なことは自分の特性を知るということだと思います。知っていれば「こんなはずじゃなかった」と思う確率を減らすことができますよね。
例えば、3つの指標のうち2つしか満たされていないけど、そこは諦めてやってみよう、と思って取り組むのと、やってみてから、こういうところが不満、と思うのでは、心の持ちようが大きく違ってしまいます。
自分の心の声をよく聞いて、日頃から自分の物差しを持っておくことは、モチベーションの源になります。その物差しは、一度決めたら絶対守らなければならないものでは無いのです。その時々に応じて、変えていけば良いのです。必ず守ろうと思うと、守ることが目的になっちゃいますから。
自分はどう思うのかということにいつも耳を傾けておきたいですね。